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筆跡心理学とユング

ユング

先週から、講師を担当している筆跡心理士養成講座(池袋教室)の今期の授業が始まりました。

筆跡心理学のベースとなっているのは、人間の無意識の領域を扱う深層心理学ですが、そのことと関連して、第1回は、C.G.ユングについてのお話をたくさんさせていただきました。

無意識にもとづく精神分析理論を初めて世に問うたのはS.フロイトですが、ユングはその理論を継承し、発展させて「集合的無意識」などの新しい概念を打ち立てた人です。

見解の相違からフロイトと決別した後、ユングは自分自身の精神的な危機に直面します。幻覚や悪夢など、精神疾患ギリギリのところで苦しみながら自己との対話を続け、そこから「元型」「集合的無意識」「個性化」など独自の理論を展開していきます。

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ユングの数あるエピソードの中でも興味深いのが、「円形の絵」の話です。

自分の無意識とひたすら対峙していた期間、ユングは自分でもなぜだかわからずに、ノートに円形の絵を毎日描き続けるようになります。イライラしている時には線が乱れていびつな形になり、良い状態の時は調和的な絵になったといいます。

そして、のちに彼は、その絵が自分の深層心理からのメッセージだったことに気づきます。自分の中にある対立する要素を調和させ、ひとつに統合することを表した図だったのです。(のちにそれが「曼荼羅」とそっくりであったことが判明します。上の画像は、ユングが1916年に描いた絵です。)

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絵と同様、手書きの文字にもその人の精神状態が表れます。そしてそれが「何気なく」書かれたものであるほど、無意識の力が強く働いているといえます。

まんまるな文字、角ばった文字、特定の線が長く伸びた文字、かろうじて読めるような変形した文字。なんだかわからないけれど、そういうふうに出来上がる。

しかし、心の深層を探ってみれば、そう書かずにはいられな必然性があるのです。そこを探究していく筆跡心理学は、人や自分を新しい角度から見るきっかけを与えてくれます。

無意識が教えてくれる、見慣れた自分とは「ズレのある」自分の姿。

それを垣間見るだけでもおおいに意味がありますが、ユングが言うところの「視界の本質的拡大と自己認識の深化」に向けることができれば、もっと素晴らしいといえましょう。

『アナと雪の女王』の「ありのままの~♪」という歌がヒットしていますが、今、自分がそうだと思っている「ありのままの自分」は、本当にありのままなのか?

それを真摯に自分に問いかけていくことは、きっと人生に大きな実りをもたらすだろうと信じています。

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