手のひらに乗る文化遺産

手のひらに乗る文化遺産

宝飾品が好き、アートが好き、歴史を感じさせるものが好き、ちょっと神秘的なものが好き。。。そんな人ならきっと楽しめる本のご紹介です。

HISTRIC RINGS 指輪88(淡交社)
紀元前2000年から現代までの指輪を集めた「橋本貫志コレクション」の中から88点を選んで載せてあります。

王の再生を祈る、神の加護を願う、死者を護る、友情を伝える、子供の成長を願う、誠実を誓う、不変の力を授かる、恵みの雨を請う、教訓を語りかける……

そんな思いが込められた指輪ってどんなものか、興味ありませんか?

写真は、16世紀後期~17世紀にドイツでつくられた「愛を誓う指輪」です。
2本の指輪を組み合わせて、はめると1本になるようにできている指輪はギメルリングといって、婚約指輪や結婚指輪に用いられるそうです。

この写真では見えませんが、それぞれのリングの内側には、水色の忘れな草や握り合う手や、燃える真っ赤なハート、羽根がエナメルで描かれ、可愛らしいだけでなく、この指輪をオーダーした男性の思い入れが伝わってきます。

手前に見える、がっちりとハートをつかんだ手も「離さないよ」という意志の表れのようですね。

古い指輪は、細かい傷があったり時を経て石が曇ったりもしていますが、どれも吸い込まれるような魅力を備えています。

でも、単に「美しいから」「欲しいから」という理由で手を出されることは拒むような、ある種の威厳も感じます。

それは、職人の優れた技と、封じ込められたさまざまな思いや願いや記憶が溶け合い、指輪という入れ物の中でワインのように熟成した結果なのかもしれません。

小さいけれど重厚な文化遺産が、拡大写真でじっくり細部まで楽しめて、飽きない写真集です。

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