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写らないんです。

写らないんです

引き出しの中身を整理していたら、懐かしい「使い捨てカメラ」が出てきました。

今ではすっかりデジカメに慣れてしまいましたが、こういうもので写真を撮って、現像して、紙に焼いていた時代があったのですよねぇ。

それで思い出したのが、母方の祖母のことです。

母が言うには、祖母が亡くなった時、「死に顔があまりにも可愛らしい」ので、葬儀の時に父が何度かカメラのシャッターを押したのだそうです。(私は2歳だったので、何の記憶もありません。)

亡くなった人の顔を撮ることにはいろいろなご意見があるでしょう。

私も初めて聞いた時には「えっ」と思いましたが、それからある程度の年月を生きて、今では、親族が故人を惜しんでそうしたくなる気持ちもわかるようになりました。

それでも、デリケートな問題ですし、よほど近い関係でなければ控えるのが筋ではないかと思っています。(今は携帯のカメラで写してしまう人もいるそうですね。。。)

で、話は戻りますが、父が、その時の写真を現像しようとした時のことです。

カメラにおさめられていたフィルムの中で、その祖母を写した一連の部分だけが、一切、何も写っていなかったのです。私は写真のことはわからないのですが、とにかく全部真っ白だったとか。

父はずっと写真が趣味で、カメラの扱いにも慣れていましたし、自分の暗室を持って現像から焼き付けまでやっていた人ですから、失敗したとは考えにくく、原因もわからずじまいでした。

母は、「きっとおばあちゃんは撮られたくなかったのよ」の一言で済ませていました。

私も同感です。

これまで、何人かの近しい存在の人の死を経験しましたが、その人の最後の顔は、写真で残したのと同じかそれ以上に、はっきりと脳裏に刻まれています。

祖母もきっと、「記憶にとどめておいてくれたらそれで十分」と、教えてくれたのだと思います。

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